始まりは、中学二年の頃だったと思います。
定期テスト前の提出物が終わらなくて、夜遅くまで机に齧り付いていました。
問題集をやりながら、なんとなく顔を触って、なんとなく額の辺りを触って。
気が付いたら、前髪の生え際の辺りを触っていました。
なんとなく一本毛を選んで引っ張ったら、スッと抜けました。
前髪の生え際の毛って、ちょっと細くて、引っ張ったら簡単に抜けるんですよね。それがすごく面白くて。楽しかったんです。
そこからは早かった。
髪を抜くことにのめり込んで、提出物そっちのけで前髪を抜き始めました。
上手く抜けたときの快感が忘れられなくて。
髪の毛を抜いているときだけは、学校であった嫌なことを忘れられました。
問題集はほったらかしにして、ただ無心で髪を抜き続ける。
ふと時計を見たら、抜き始めてから30分経っていたなんてこともザラでした。
白紙のノートの上に散らばった自分の髪の毛を見て、「あーまたやってしまった」と自己嫌悪に陥る。髪の毛を集めてティッシュに包みながら、「もう抜くのはやめよう」と思う。けれどそれから1時間後には、また抜き始めているんです。
そのときはまだ、この癖が病気だとは思っていませんでした。
見た目にもまだ、そこまでの変化はありませんでした。
髪を抜く癖のせいで、これからどれだけ大変な思いをするか、このときはまだ分かっていませんでした。
私は次の春で、大学3年生になります。
「髪を抜く癖」は、ほとんど治りました。
でも、完治したわけではありません。今でもストレスが溜まると、ついつい前髪に手を伸ばしそうになります。
少し前にも誘惑に負け、また何本か前髪を抜いてしまいました。
前髪たちはありがたいことに、しぶとく生えてきてくれていますが、中途半端な長さの毛が何本か出てきていて、美容院に行くのが少し恥ずかしいです。
私がブログを始めるのは、あのときの記憶が薄まってしまう前に残しておきたいから。それと、同じような「癖」に悩んでいる方の支えになりたいからです。
私自身、同じ体験をされた方のブログや記事に支えられました。
そしてこの「癖」は、周りの方の理解も必要不可欠なものだと思います。
どうか、「自分で髪を抜いてしまう癖」について知らない方にも、お付き合いいただければ幸いです。